請求書のあれこれその3は「振込手数料の負担」について。
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*フリーランスといってもイラストレーターやデザイナー向けに書いているので、他業種の方には当てはまらない場合もあるかもしれないのであしからず。
振込手数料はどちらが負担する?
結論から言うと、事前に取り決めが無い限り
支払者が負担する決まりとなっています。
これは下請法という法律で決められている事なので、振込時に勝手に手数料を差し引くのは義務違反となります。
下請法って?
私達フリーランスのイラストレーターやデザイナーは「下請業者」と言うものに当たるのですが、その下請業者の利益保護とクライアントとの力関係の是正のためにあるのが「下請法」です。
私達の職業にとても関係の深い法律なので、これからフリーランスで絵やデザインの仕事をやっていくぞ!という方は一通り知っておいた方が自衛のために良いと思います。
請求書にまつわる下請法違反になる色々
- その1
振込手数料を差し引くこと(発注前に書面で決めている場合は除く) - その2
事前の取り決めで振込手数料の負担がこちらとなっている場合でも、実際の負担額より多く差し引く事 - その3
端数が出た時に1円以上の単位で切り捨てる事
主にこんな感じです。それぞれ解説します。
その1
報酬から勝手に振込手数料を差し引いてはいけない決まりとなっています。こちらが振込手数料を負担する場合は、事前(依頼時)に書面にて取り決めが必要となります。
この事前に取り交わす書面を三条書面と言うのですが、実務上は発注書や業務委託契約書をこの「三条書面」の要件を満たす形で作る事が多いようです。
振込手数料の事に関係なく、この書面はクライアントである親事業者は私達下請けに交付する義務がある。
その2
例えば本来の振込手数料が324円だった時に、ネットバンキング等の利用で100円で済んだとする。
そういう時に100円ではなく324円を差し引いて振り込むのは駄目という事です。
その3
下記画像の通り、消費税などで端数が出てしまった時に1円以上の単位で切り捨てる事もNGです。
★その1〜その3は「下請法」の
下請代金の減額の禁止
(第4条1項3号)に当たります。
相手に負担してもらうには?
違反なのは解ったけど指摘するの気まずくてムリ…
そう、違反だけど数百円だしいちいち言うのもなぁ…という。でも安めの仕事をぎりぎりの工数でやる場合もあるかもしれません。そういう時はたった数百円でも減額は困る。どうにかしたい。
そんな時は……
請求書の振込先のところに
誠に恐れ入りますが振込手数料はご負担願います
と、一言添えておくと良いです。
振込手数料差し引かれる事ってそんなに無いのですが、ごくたまーーに遭遇するので念の為これで回避するようにしています。気休め程度ではありますが。
書き方は過去記事に作例載せています。
個人的な体感ですが、この一言があるのと無いのではかなり違う気がします。
請求書を隅々見るのは恐らく経理の人なので、やり取りしている担当さんに直接言わなくて良いから気まずくない!
因みにこの一言を書いても尚差し引かれてしまう時もあります。その時はもう経費になるしまあいいかと納得して特に追求などはしません。数百円だしね。追求はしないけど「そういう企業なのか〜」という印象はずっと残ります・・笑
その3 まとめ
- 振込手数料は支払者負担が基本
- 請求書の振込先の欄に、負担のお願いの一言を添えると回避しやすい
以上、請求書にまつわる下請法の話でした。
下請法についてこちらにもっと詳しく書いてみたので、興味ある方はどうぞ!